コラム06不毛の流通対策費~15兆円はどこへ行く~

えっ!そうだったんだ

近年の日本の「広告費」の総額は約6兆円。世界に比べて多いのかなと思っていたら、実は国民一人当たり換算だとアメリカの半分程度と聞いて驚きました。
驚きつつ、あっそうだ!と思い当たったことがあります。

そう、日本特有とも言うべき、莫大な「流通対策費」の存在です。
少なく見積もって10兆円。一説では15兆円を優に超えるといわれる巨額の「流通対策費」が、企業の営業活動費として使われています。

場所どりのワイロの存在

早い話が、メーカーが流通に払う「ワイロ」の様なものです。
その昔、メーカーの方が流通よりも圧倒的に強かった時代には、それはワイロではなく育成費でした。
“リテールサポート”と言う言葉はもう死語になりかけていますが、メーカーは自費を投じて、売り場の整備をしていたのです。

ある時から、メーカーと流通の立場は逆転し、メーカーは、流通店頭の「売れる場所」を取るために、協力費を払うことが習慣になりました。

「売れない時代」を迎えてこの傾向が一気に加速しました。
2000年以降、最も伸び率の高い販促費は、実はこの「流通対策費」です。
効かない広告などにお金を払っている場合じゃない、最も直接的な効果を狙って、売り場をおさえようと言うわけです。

アメリカでは公取法違反

実はこの場所どり合戦の「条件競争」、アメリカでは「ロビンソン・パットマン法」と言う、公正取引法のようなもので禁じられています。
同一の商品は、同一の数量ならば同一の金額で卸さなければ不公平だと・・・
これもどうかと思うのですが、やはり日本の現状の方が異常と思えてなりません。
差異性の無い商品を量産しながら、競合よりも少しでも多く売ろうとシェア競争に走るから、こうした抜け駆け競争が生まれます。

無駄な流通策費を、有効なマーケティング費に

日本特有の商習慣から生まれる、無駄な流通対策費を、有効なマーケティング費に変えて行けるといいですね。
そのためには先ずメーカーが、そして流通も「自社ならではの価値」と言う、マーケティングの原点に返ることです。

商品や業態の「明確な差異性」「固有の価値」が確立されていれば、メーカーも週替りの場所取りに莫大な費用を投じなくて済むはずですし、流通も「不思議な副収入」に頼ることなく、生活者のハートをつかむ努力に、メーカーとの二人三脚で立ち向かってゆく方が有意義です。

エージェンシーは流通を知らない

エージェンシーのマーケッターに、特に広告業界の方たちにこのお話をすると、キョトンとされる方が多いようです。
日本では従来から、営業はメーカーの自社課題で、広告の表現や媒体プラン(≒コミュニケーション)だけがエージェンシーの役割とされてきました。
でも、本当にそれでよいのでしょうか?

メーカー(Brand)の使命とは、自社のみが生み出す固有の価値を、それを求める人のところへ「届ける」こと、だとしたら、Brandのエージェンシーは、Brandと生活者の関係を説くのであれば、やはり流通の仕組みにまで理解を及ぼして本当の「解」を探す必要があるのではないでしょうか。

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